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「子どもたちに暮らしやすい地球環境を残すために」家電女優・奈津子さんが考えるエネルギー効率化の大切さ

2024.11.22

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俳優・家電製品アドバイザー・スマートマスター 奈津子さん

アイドルグループ・SDN48のメンバーとして活動し、現在は俳優として活躍する奈津子さん。家電好きが高じて「家電製品アドバイザー」の資格を取得したことでも話題を呼び、「家電女優」として情報番組やバラエティ番組にも多数出演しています。2018年には、エネルギーを効率的に使い、快適な暮らしを実現する住宅「スマートハウス」づくりをサポートするプロフェッショナル「スマートマスター」の資格も取得。自宅には250台を超える家電製品を所有し、「家電愛」が年々増しているという奈津子さんに、これまでの歩みやお仕事、家電への思いについて伺いました。

 

家電好きが高じて「家電製品アドバイザー」の資格を取得

――――――「家電女優」としてご活躍ですが、まずは「家電製品アドバイザー」の資格を取得したきっかけから教えてください。

SDN48のメンバーとしてアイドル活動をしていた頃、秋葉原にあるAKB劇場で定期的に公演を行っていました。当時、秋葉原の電気街はたくさんの電飾で飾り立てられていて、今よりもかなり派手。その明るさに惹かれたこと、そしてもともと家電が好きだったこともあり、家電量販店は身近な存在だったんです。公演の合間の息抜きとして、よく家電量販店へリフレッシュしに行っていました。落ち込むことがあった時にも行くほどだったんですよ。そこで店員さんとお話ししたりするうちに、家電の知識がどんどん増えていきました。

その後、グループが解散することになり、今後のことを考えた時に、好きなことを自分の武器にしていきたいという気持ちが芽生えてきました。そんな時に「家電製品アドバイザー」の資格があることを知り、この資格を持っていれば家電が好きな気持ちを証明できる!と、猛勉強して資格を取得したんです。現在は「家電女優」としてメディアに呼んでいただくことも多いですね。

 

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「家電製品アドバイザー」の資格を活かし、「家電女優」としてメディアに多数出演

 

――――――家電製品アドバイザーの資格を取ったことで、仕事上の変化はありましたか?

家電に関するお仕事をいただけるようになっただけでなく、仕事関係の方々から「家電に詳しい女優」として覚えてもらいやすくなりました。それから、撮影現場で共演する役者さんやスタッフさんからおすすめの家電について質問していただけることが多くなり、コミュニケーションが円滑になりましたね。

俳優のお仕事は、初対面の共演相手と「初めまして」からスタートして、いきなり夫婦や親友の役を演じることがあります。事前のコミュニケーションがなくても素晴らしい表現ができる方もいらっしゃいますが、私の場合はある程度相手と心を通い合わせた上でお芝居をさせてもらった方が、表情や演技に厚みが出るように思うんです。家電が人間関係づくりに一役買ってくれていると感じています。

他に、俳優のお仕事以外では、「開運!なんでも鑑定団」(テレビ東京)というテレビ番組にアシスタントとして出演していた時に、共演する鑑定士の方々が、私がおすすめした家電をじゃんじゃん買ってくださったのが良い思い出です(笑)。「部屋がいつの間にか奈津子がすすめる家電だらけになった」なんて言ってくださると、私も嬉しくて。家電をおすすめする時は、相手の家族構成やライフスタイルを聞きつつお話しすることになるので、相手のことを詳しく知ることができ、自然と仲良くなれるんですね。好きなことを自分の看板にできてよかったなと実感しています。

 

家電は「時産」をしてくれるもの。積極的に活用することで心にゆとりが生まれる

――――――俳優として活動しながら資格を取得することは大変だったと思いますが、勉強はどのように進めていったのでしょうか?

資格を取ると決めてから半年間くらいは、移動時間なども含めて毎日4〜5時間はひたすら問題集を解いていました。あとは実際に家電量販店に足を運んで、最新の家電をチェックすることもありましたね。知識として知っておくだけでなく、実際の商品を見たり触れたりした方が理解しやすかったので。

でも、家電製品アドバイザーの試験って、テレビに映像が映る仕組みから人工衛星まで、出題範囲がかなり幅広いので、ひたすら暗記するしかない部分も結構あるんです。セリフは頭に入るのに、なんで勉強はこんなに入らないんだー!って叫びたくなることもありましたね(笑)。ただ、勉強時間を確保すること自体は大変でしたが、内容は好きなことだったので苦痛ではなかったです。

 

――――――すごく努力家なんですね!覚えた知識はご自身の生活にも役立っていますか?

今は働きながら3歳の息子を育てるワーママなので、やるべきことがいつも多すぎて、気力も体力も常に限界値!という日々を過ごしています。私は、家電にアウトソーシングできる家事はどんどん任せていきたい派。独身時代から家電に頼りまくっていましたが、今のライフスタイルになってからありがたみを再認識していて、これまで身につけてきた家電の知識がとても役に立っていると感じています。

 

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プライベートでは3歳の息子を育てる奈津子さん

 

例えば、令和版・ワーママの「三種の神器」ともいわれる「ロボット掃除機・食器洗い乾燥機(食洗機)・ドラム式洗濯乾燥機」。私は全て愛用しているのですが、暮らしを便利にするためにはどんな性能を持ったどんな機種を選べばいいのか、知識があれば悩むことなく自分に合ったものをチョイスできます。

 

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自宅では食洗機を始め、時短につながる家電を愛用

 

つい数か月前には、ドラム式洗濯乾燥機を洗剤も柔軟剤も自動投入できるタイプのものに買い替えました。これがもう楽ちんで快適!日々の洗濯で洗剤を入れる手間は1分程度ですが、洗剤ボトルに中身を詰め替える時間まで考えたら、年間を通してかなりの時間を短縮できます。

 

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奈津子さんが自宅で使う、洗剤や柔軟剤を自動投入できるタイプのドラム式洗濯乾燥機

 

あとは俳優という職業柄、美容家電もフル活用しています。全部で70台くらい持っているうち、一番恩恵をもたらしてくれているのがドライヤーですね。最新型のドライヤーは髪を乾かす時間をぐっと短縮してくれたり、髪のうるおいをなるべく残して乾かしてくれたりと、製品に備わっている技術とその効果をはっきりと実感できます。古い機種を使っている方には、ぜひ買い替えをおすすめしたいです。髪が速く乾いたらその分、時間にゆとりが生まれますから。特に私のように小さい子どもがいるママなら、子どもを寝かしつけた後の、一息つける貴重な時間に充てられますしね。

 

――――――仕事に家事・育児にと目まぐるしく過ごす中で、少しでも自分のために使える時間があると嬉しいですよね。

まさにその通りです。ここ最近、「時産」という概念が広まっているように、家電は上手に使うことで時間を産み出してくれるもの。産まれた時間は、そのまま心のゆとりにつながりますよね。その時間に自分のことを労わったり、好きなことをしたりすることができれば、日常生活に張りが出ます。美顔器などの美容家電を使って、肌や髪のケアをするのもいいですよね。今日は肌の調子がいいな、と思えたら育児にも仕事にも、よりポジティブに向き合えますから。

 

エネルギーマネジメントのスペシャリスト「スマートマスター」の資格も取得

――――――家電製品アドバイザーだけでなく、「スマートマスター」の資格も取得されたと伺いました。どのような資格なのでしょうか?

スマートマスターとは、家電や住宅設備、そしてエネルギーマネジメントに関する知識を持つ、「スマートハウス」のスペシャリストです。「スマートハウス」とは、IT技術を活用してエネルギーを効率的に使用することで消費量を抑え、便利で快適な暮らしができる省エネ住宅のこと。太陽光発電により自宅で電気をつくり、つくった電気を蓄電池でためて、「HEMS(ヘムス)」と呼ばれるシステムで家電や給湯機器をつなぎ合わせて家全体のエネルギー消費を管理しながら使うなどして、エネルギーを上手に、効率よく使うことができるものです。

太陽光発電設備や蓄電池をお持ちのご家庭の中には、その日の発電量や電気を貯めている量・使っている量をリビングのモニターでチェックすることが習慣になっている方も多いと思います。そうした取り組みも実は「スマートハウス」でできることの一つです。

▼経済産業省ホームページ:省エネって何?
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/what/

▼環境省ホームページ:HEMS(Home Energy Management System ホーム エネルギー マネジメント システム)について
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/kateico2tokei/energy/detail/04/

 

そして、太陽光発電設備などの「創エネ」機器と、蓄電池や電気自動車などの「蓄エネ」機器を組み合わせ、エネルギーマネジメントによって効率よくエネルギーを利用する生活を「スマートライフ」といいます。「つくる」、「貯める」、「使う」を組み合わせて、無駄を減らしエネルギーを効率的に使うことはエコにもつながりますよね。これまで勉強してきたことを活かして、私もいつかオール電化のスマートハウスを建てて、スマートライフを実現したいと思っています!

 

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スマートハウスではIT技術を活用して家全体のエネルギー利用を管理し、効率的よく使うことができる(takeuchi masato / PIXTA)

 

――――――現在の生活の中で、効率的にエネルギーを使うために実践していることはありますか?

スマホで自宅の家電を遠隔操作できるスマートリモコンを導入して、外出時に帰宅する少し前からエアコンの電源を入れるようにしています。帰宅してからスイッチを入れると、急いで室温を調整しようと温度設定を上げ下げしたり、強風にしたりと、つい消費電力が大きくなってしまうような方法でエアコンを使いがちですが、帰宅前に起動させておけば、無理なく通常の使い方で帰宅直後から快適に過ごせるので、おすすめですよ。

 

「夏でも涼しい瞬間」を知らない子どもたちのためにできること

――――――効率よくエネルギーを使うために工夫できることはいろいろあるんですね。

「効率」と聞くと、節電や電気代の節約といったイメージを持つ方も多いかもしれませんが、単に我慢するのではなく、上手に使うことを意識してほしいですね。電気やガス、ガソリンなど、限りあるエネルギーを効率的に、無駄なく大切に使うことは、「エネルギーの安定供給確保」と「地球温暖化防止」にも繋がる、みんなにとって重要なことなんです。日本はエネルギー資源のほとんどを外国からの輸入に頼っていますが、エネルギーの無駄を減らすことは、外国への依存度を下げ、安定供給を確保することにもつながります。そして省エネは二酸化炭素などの温室効果ガスの排出を減らし、地球温暖化対策にもつながります。エネルギーを上手に使っていくためには、一人ひとりの行動が大切だと思います。

 

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エネルギーの効率化について真剣に話す奈津子さん

 

――――――私たち一人ひとりが意識しなければいけないのですね。

私の場合は、子供を産んでから、さらにエネルギーや地球環境のことを意識するようになりました。
今年の夏も、日中に外で遊べないほどの異常な暑さでしたが、3歳の息子は生まれた時からずっと「猛暑」と言われる夏しか経験していないので、夏の暑いさなかにふと訪れる、涼しい瞬間を知らないんですよ。私たちが子供の頃に感じていたような、夕立ちが去った後の生まれ変わったような空気とか、日が暮れたら風鈴の音を心地よく感じるとか。そういう瞬間を知らないのって切ないですよね。こうしたことを思うと、息子が大人になった時、日本、そして世界の環境は大丈夫かな?って考えてしまうんです。

過去と同じような環境に戻すのは難しくても、地球温暖化の速度を緩やかにしていくことはできるはず。サステナブル(持続可能)という考え方が広まってきていますが、これからの時代には欠かせない視点です。自分だけが快適ならいいというわけじゃなく、みんなの問題になってきていると思います。

 

寒さを感じる季節が到来。家電製品を上手に使って暖房効率をアップ!

――――――これから寒さが増していく時季に入ります。家電の上手な使い方やおすすめの省エネ方法を教えてください。

寒さ対策としては、エアコンの暖房をより一層効率的に使えるよう、サーキュレーターを併用してみるのはいかがでしょうか。サーキュレーターを弱にして部屋の空気を上下でかき混ぜるように使うと、上部にたまりやすい暖かい空気が足下まで下りてきて循環するので、暖かさのムラがなくなります。暖かい空気が行き渡れば、設定温度を必要以上に上げずに済むので、消費電力を抑えられますよ。

 

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エアコンとサーキュレーターを併用すると暖房効率がアップ(Satoshi KOHNO / PIXTA)

 

そして、もしエアコンの調子が悪いと感じたら、まずは室内機のフィルターが目詰まりを起こしていないか、室外機が直射日光に晒されていたり、ファンが塞がれていたりしないかなどを確認してみてください。適切な使い方ができていないと、エアコンは本来の能力が発揮できず、結果として電気代も高くなってしまいます。

きちんと掃除をしていても、エアコンの効きが悪くなってきたと感じたら、買い替え時かもしれません。エアコンの寿命は一般的に10~13年程度と言われています。エアコンの場合、メーカーのパーツ保存期間が製造終了から9年間と定められていることを考えると、購入から10年が経過した頃には、消費電力の小さい「省エネ型」への買い替えを検討し始めてほしいですね。

エアコンに限らず、まだ使えるからと消費電力の大きな古い家電を長く使うのは、結果的に余分な電気代を払うことになる可能性が高いです。家電の使用にかかる電気代が気になったら、今持っている家電と、買い替えを検討している家電の製品情報を打ち込むだけで年間の電気代を比較・表示してくれる環境省のサイト「しんきゅうさん」を活用してみてください。無料で使えますし、機器のパンフレットとにらめっこしながら試算をしなくていいので、とても便利ですよ。

 

環境への配慮を大事にしながら、家電の面白さを追求していきたい

――――――今後の展望を教えてください。

俳優業に関しては、日々面白さ・難しさを感じながらお芝居と向き合っていますが、引き続き一つひとつの仕事を大切にしていきたいです。私自身、これまでいち視聴者として、素晴らしいドラマや映画に何度も救われてきた経験があるので、私が出演した作品を観てくれる方々にも、そういった経験や勇気を感じてもらえる演技をしたいと思っています。

そして、家電女優としては、これからも家電の魅力や省エネの必要性をわかりやすく伝えていくことで、皆さんの暮らしを便利に、かつ豊かにする手助けをする役割を担えたらうれしいです。自分の好きなことをシェアすることで、助けられたり喜んでくれたりする人がいる、それって嬉しい好循環で、「家電オタク」冥利に尽きるなと感じます。

今はありがたいことに、俳優、そして家電女優としての仕事で毎日とても忙しく過ごしていますが、すべて私が「好きだ」と思えることばかり。そんな母の背中を見て、息子に何かを感じてもらえたらうれしいです。
 

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 3歳の息子さんの話になると満面の笑顔に。奈津子さんが出演するテレビを観て、「ママはなんでここにいるの?」と聞かれるそう

 

――――――最後に、奈津子さんにとって「電気」とは何でしょうか?

皆さんもそうだと思いますが、プライベートでも、仕事でも、電気は私の生活に欠かせないものです。
思い返せば、電気に対する見方は東日本大震災で変わったと思います。当時はまだSDN48に在籍していましたが、発災から一年くらいの間は、節電のためにステージで使用する電気を最小限に抑えて公演を行っていました。その時に痛感した電気の「ありがたみ」は今でも忘れていません。
そして電気を使う家電にハマったことで、生活がより豊かになり、さらには家電製品アドバイザーとしてテレビ番組などに呼んでいただくことで、お仕事の幅も広がりました。

今後もたくさんの新たな家電に出会って、性能やデザイン、新しい機能など、家電の面白さをとことん追求していきたいです。サステナブルで環境に優しいものを使いたいという思いを大切にしながら、仕事も暮らしも豊かにしていきたいですね。

 

【編集後記】
これからチャレンジしてみたい企画をお聞きすると、次から次に笑顔でアイディアを教えてくれた伊藤さん。取材では、電気設備の点検の時に使われるMY「検電器」も紹介してくれました。発信した動画を観た人が「わかりやすい」と言ってくれることが嬉しく、これまでのお仕事につながっているそうです。
 

奈津子

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なつこ。ドラマ『野ブタを。プロデュース』(日本テレビ)で俳優デビュー以降、連続ドラマにメインキャストとして数多く出演。小劇場から大劇場まで舞台出演も多数。秋元康氏プロデュースSDN48メンバーとしてアイドル・歌手活動も経験。グループ卒業後は、家電好きが高じてエンジニアや量販店の販売員などが保有する資格である「家電製品アドバイザー」ゴールドグレードを独学で取得。私生活では3歳の息子の育児中。250台以上の家電に囲まれて暮らす。東京FM「スカロケ」レギュラー出演中。

Instagram:@natsuko_kaden

衣裳協力:AOIWANAKA , Lilas Millesime


企画・編集=Concent 編集委員会


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