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電力業界初! 『あつまれ どうぶつの森』の中からカーボンニュートラル!? 中国電力が新たな試みを始めたらしい

2021.10.01

中国電力が送る、“電力業界初の試み”という、Nintendo Switch専用ソフト『あつまれ どうぶつの森』のゲーム内でキャラクターを通して行うカーボンニュートラルに向けた取り組み。このような取り組みでは、どのようなことができるの? どのように実現したの?そんな疑問を、中国電力 地域共創本部広報コミュニケーショングループの古谷 浩章さんに熱意たっぷりに語って頂きました。

電力会社が「あつまれ どうぶつの森」で情報発信??
電力会社が「あつまれ どうぶつの森」で情報発信??

『あつまれ どうぶつの森』ってどんなゲーム?

2020年3月20日に任天堂より発売された、Nintendo Switch専用ソフト『あつまれ どうぶつの森』。本作は様々な動物たちが暮らす無人島で、住人たちとコミュニケーションをとったり、釣りをしたり家具を集めたりなど、ほのぼのとした生活が楽しめるゲームです。部屋の内装などをカスタマイズできるアイテムは種類が豊富で、壁紙や服のデザインは自分で作ることも可能。また、自分の島には友達に来てもらうこともでき、誰かと一緒に遊ぶ楽しみも人気の理由のひとつ。

どんな風にスタートしたの?

電力業界初となる、「あつまれ どうぶつの森」と「カーボンニュートラル」のコラボレーション。ゲームが好きな方々にも楽しんで頂ける取り組みは、どのように実現したのかについてまずはお聞きしました。

古谷さん「今年の2月に今の部署へ異動してきてから少し経った頃、『Facebook10万人いいね!企画』を担当することになりました。会社に入ってから初めての企画だったのですが、地域の方やフォロワーの方に楽しんでいただくだけでなく、将来に向けて何か役立つことができないかと思っていました。また、当時、当社の『カーボンニュートラルに向けた取り組み』に関する認知度がとても低く、特に『女性や若年層』へ情報をお届けできていない、という課題があることを認識していました」

認知度の低さが課題となっていた「カーボンニュートラルに向けた取り組み」。そこで、古谷さんが目をつけたのが『あつまれ どうぶつの森』でした。

古谷さん「『あつまれ どうぶつの森』は、コロナ禍の中において、爆発的に普及しているゲームで、昨年頃からは食品メーカーやアパレルメーカーなど、多様な企業さんがこのゲームを活用した広報活動をされているのを目にしていました。ゲームユーザーではなかったにも関わらず、斬新な取り組みであり、親近感を抱いたことを覚えています。そして、Facebook 10万人いいね!企画を考えていた時期、同部署内で『あつまれ どうぶつの森』で何かできないか?を検討していた段階だったんです。私たちがやりたいことに、この企画がぴったりなのでは?と思い、その日に『あつまれ どうぶつの森』をプライベートで購入しました。自分でもやってみると、見事にハマってしまい……ゲームの自由度が高く、企業の広報でも十分で活用できることがわかりました」

他の部署の方からも意見を貰い、ついに広報活動がスタート!

古谷さん「以降は、先輩方や上司をはじめ、いろんな部署の方から意見をいただきながら、『あつまれ どうぶつの森』を活用した広報企画をスタートさせ、地域やフォロワーの皆さまに楽しんで頂けるよう、当社のマイデザインを制作・配布することになりました。そして2021年6月5日(土)に当社公式Facebook、Instagram、特設サイトにて公表したんです」

中国電力が「あつまれ どうぶつの森」で情報発信
中年男性風のキャラクターは広報部長がモデル。古谷さんからの『出演オファー』に部長は快諾だったとか

古谷さんが解説!カーボンニュートラルとは?

取り組みの中心である「カーボンニュートラルを伝えること」。その「カーボンニュートラル」は、“温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする”“脱炭素を目指す”というイメージがあることを伝えると、「おっしゃる通りです」と古谷さん。カーボンニュートラルについて、わかりやすく説明頂きました。

古谷さん「ただ、耳にすることはあっても、なかなか分かりにくいですよね。直訳すると『炭素中立』。これもあまりピンと来づらいですね。意訳すると『CO2プラマイゼロ』といったところでしょうか。カーボンニュートラルは、ダイエットに置き換えると分かりやすい、と聞いたことがあります。ということで、地球=私に、CO2=カロリーに置き換えて考えてみましょう。最近、私(地球)はカロリーの高いものを食べすぎ(CO2を出しすぎ)て、太ってきました(大気中のCO2の割合が高い状態)。太りすぎは、健康によくないですよね(温暖化や異常気象)。自分でも耳が痛くなってきました。ただ、生きていくためには、食事をしないわけにはいきません(呼吸をするだけでもCO2が出ているように、CO2を全く出さない生活はできません)。だから、健康的な食事(CO2排出量をできるだけ低減すること)に加え、運動でカロリーを消費(植林などでCO2を吸収)して、バランスよく健康になろう(CO2プラマイゼロ)!という話なのです」

地球に優しくプラマイゼロを目指すけれど、「ちなみに、当社は多くのCO2を排出しています」と語る古谷さん。そこからどんな行動を心がけていくのでしょうか。

古谷さん「この現実に真正面から向き合い、2050年のカーボンニュートラル達成を目指して、現在、『発電時にCO2を減らすための取り組み』はもちろんのこと、燃料を燃やした後に出る『CO2を回収する技術』の実証研究、また『CO2を出さない発電方法』の開発に取り組んでいます」

ゲーム内でどんなことができるの?

「あつまれ どうぶつの森」内での取り組みは、現在第3弾までを展開中の中国電力。その内容とは?

中国電力が「あつまれ どうぶつの森」で情報発信
「えねるぎあ島」では中国電力ならではのマイデザインを配布中

古谷さん「ゲーム内で活用できる『マイデザイン』をダウンロードしていただくことが可能です。第1弾として、当社の作業着やキャラクターを模した帽子、当社のロゴ、第2弾は、当社のスポーツチーム(陸上競技部、女子卓球部、ラグビー部)のユニフォーム、第3弾はカーボンニュートラルグッズとして、『トマトばたけ』『グリーンカーテン』を発表しました」

突然のトマトばたけ! 選ばれたその理由とは……?

古谷さん「マイデザイン第3弾で公開した『トマトばたけ』をご覧になって、『なぜトマトばたけ?』と思われた方もいらっしゃると思いますが、これは、現在検討中である『回収したCO2を作物に利用する』という手法を、『あつまれ どうぶつの森』の中で一足先に表現してみたものです」

部署を異動したての古谷さんが、初めて取り組んだ大きな本企画。そこで生まれた苦労は計り知れません。

古谷さん「個人的には、仕事として初めての企画であり、アイデアを形にしていくことの難しさを強く感じました。会社としても、今までに取り組んだことのないジャンルの企画だったので、ユーザー目線を大切にしつつ、社内でもいろんな方の意見を聞きながら、みんなで作り上げていくよう、意識しました」

取り組みで生まれるユーザーとの関わり

ゲーム内でのユーザーの関わりについて、古谷さんは「ゲーム内において、利用者とのコミュニケーション企画は、まだ行っていません。今後、利用者が楽しめる企画があれば、実現したいと考えています」と、これからに期待できる発言。では、SNSやニュースを見た方々から得られた反応とは?

古谷さん「みなさんからの反応として、総じて『かわいい』というコメントが多く、親近感を感じていただけた方も多かったようで、とても嬉しかったです。印象的だったのは、SNSでマイデザインを着用していただき『ダウンロードしました!』と画像を投稿されていた方を目にした時です。感動しました」

今回の「あつまれ どうぶつの森」内での取り組みに関しては、オンライン上での活動だけでなく、直接子どもたちに接する“出前授業”という場で、新しい企画として紹介も。

古谷さん「当社SNSでは、フォロワーさんからいいね!や肯定的なコメントをいただいています。社内からも、新しいことへのチャレンジとして頑張ってという激励や、いつかゲームでの広報が当たり前になれば、そんな仕事もしてみたい等の声もいただいています。先日は、出前授業で小学生の子供たちに紹介してみたところ、授業の雰囲気が一変するほど反応が良かったという声も伺いました。新しい企画なので、今後もさまざまな場面で活用していけるよう、アンテナを張っているところです」

斬新な視点から企画を進める古谷さんの、今後の展望にも注目です。

古谷さん「電力会社にとって、カーボンニュートラルに向けた取り組みの重要性は非常に高まっています。取り組みを進めるにあたっては、社内だけではなく、さまざまな方にご理解いただく必要があります。『あつまれ どうぶつの森』を通じて、幅広い方々にカーボンニュートラルについて知っていただくことが大切になると思います。そして、堅苦しいところだけではなく、みなさんに楽しんでいただきつつ、寄り添い、お役に立てるような企画を進めていければと考えています!」

ゲーム内にもある“電化”

「あつまれ どうぶつの森」での中国電力の取り組みを紹介しましたが、カーボンニュートラルを実現するためには、私たち電気を使う側の「電化」も重要な取り組みとされています。ゲームでは、その時々の世相を反映した内容も多いようですが、近年ではエネルギーが電気へ転換された「電化が進んだ世界」という舞台設定も見られることをご存じでしょうか?ここでは、2つのゲームをご紹介します。

最初に紹介するのは、フィンランドのゲームデベロッパー、コロッサル・オーダーが開発した都市開発シミュレーションゲーム「Cities: Skylines(シティーズ:スカイライン)」。PCだけでなく、 PlayStation 4やNintendo Switchなどでもプレイ可能です。

プレイヤーは都市計画のために、家やお店、学校などの施設の設置はもちろん、地下に水の通り道を作ったり、電気を通す作業もしなくてはいけません。作った都市は、その内容で人口や、そこに住む人の健康状態や学力などにも影響が出てきます。このゲーム内で見られる“電化”は、太陽光発電所や風力発電所など。生活基盤の整備に欠かせない要素として登場します。外国で見られる、水上型風力発電所も見逃せません! 拡張パックの「Green Cities」では、グリーンな脱炭素社会がテーマになっており、ソーラーパネルを設置して公共の電力消費を抑えられる環境に優しい建物や電気自動車なども登場するとか……!

続いて、コジマプロダクションによって制作されたPlayStation 4用ゲーム「DEATH STRANDING(デス・ストランディング)」。伝説の配達人と呼ばれている主人公・サムを操作して、荷物の配達ルートを開拓し、無事に目的地まで運ぶことが目的のゲームです。

本作に登場する“電化”は、風力発電所、電気で走る車やバイクなど。バイクはゲームのオープニングから主人公が乗っている姿を確認できます。ゲームを進めて、バッテリーの発電所を作成すれば、自由に乗ることも!

多くの人が毎日あたりまえに使っている電気ですが、生活になじみすぎて改めて向き合う機会は日常の中でそう多くありません。とはいえ、国際的に、環境的に、二酸化炭素やエネルギーの問題は、無視できない課題。そんな中で、中国電力が取り組む『あつまれ どうぶつの森』内での活動や、ゲームに登場する“電化”で年齢や属性を問わず日常の中で触れる機会があるというのは、これからの未来に対して、大事なことなのかもしれません。

文=永野鈴夏


★「カーボンニュートラル」についてもっと知りたい方に!


『「カーボンニュートラル」って何ですか?(前編)~いつ、誰が実現するの?』

「カーボンニュートラル」って何ですか?(後編)~なぜ日本は実現を目指しているの?』

(経済産業省 資源エネルギー庁スペシャルコンテンツ)