【コラム】2040年に大量のゴミが出る? 太陽光発電が抱える廃棄物問題
太陽光発電のメリットとデメリットを学んだえみりちゃん。環境に優しいなどの長所がある一方で、短所もある事実を知りましたが、問題の一つとして挙がった「2040年の大量廃棄物」とは、一体どのようなことなのでしょうか。
現在、再生可能エネルギー(以下、再エネ)発電の一翼を担う太陽光発電は、2012年に「FIT(固定価格買取制度)」が導入されて以降、国内で急速に拡大しました。FITとは、太陽光や風力などの再エネでつくった電気を、電力会社が一定の期間、一定の価格で買い取る制度のこと。太陽光発電には、「20年間、1kWhあたり40円」(2012年時点、設備容量10kW以上)など、買取価格の高さと参入障壁の低さから、多くの事業者が参入していったのです。
制度の目的通り、太陽光発電の普及は進んだ一方、新たな課題も予測されています。それが太陽光パネルの廃棄問題です。
太陽光パネルの寿命は、約25~30年とされており、2012年のFIT開始時に作られた太陽光発電所のパネルは、2040年前後にその寿命を迎えます。つまり、太陽光発電が急速に普及したため、一度に大量の太陽光パネルが廃棄されると予測されているのです。
●太陽電池モジュール排出見込量(寿命20、25、30年)
出典:環境省「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン(第一版)」(平成28年4月1日)
太陽光パネルの大量廃棄による課題は、主に次の3つと言われています。
(1)廃棄するのに費用がかかるため、放置や不法投棄が行われる恐れがある
(2)太陽光パネルには有害物質が含まれているが、含まれている有害物質の情報が廃棄物処理業者にきちんと伝わらず、適切に処理されない恐れがある
(3)一度に大量の太陽光パネルが廃棄されるため、一時的に産業廃棄物の処分場が足りなくなる恐れがある
とはいえ、FIT開始からまだ6年。現実には、太陽光パネルの大量廃棄はまだ起こっておらず、廃棄処理もリサイクルも、実態はほとんど分からない状況だと言われています。国は将来想定される廃棄物の量やリサイクルにかかる費用などの実態調査を進めていきながら、廃棄物処理問題の対策を検討しています。
クリーンなイメージがある再エネですが、別の角度から見ると、課題も浮き彫りになります。近い将来に訪れる課題をどう捉えるか。まだ時間のある今のうちに、再エネのメリットとデメリットについて、しっかりと考えてみてはいかがでしょうか。
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