あなたとエネルギーをつなぐ場所

世界遺産・春日大社の美しさを守る、関西電力送配電の特別な一日

2022.09.07

春日大社01

「電力会社」と聞いて思い浮かぶのは、「電気を作り、届ける」こと。でも実は、地域の発展のため、環境のためなど、他にもさまざまな活動をしているのをご存じでしょうか。今回は関西電力送配電が地域貢献活動の一環として行っている、ある清掃活動をご紹介。一般的なまちの清掃をイメージするとかなり違う? 電力会社ならではの装備で臨む、特別な清掃活動の様子をレポートします。舞台は奈良が誇る世界遺産・春日大社です。


春日大社に高所作業車が入る特別な日

古都・奈良を象徴する歴史ある神社の一つであり、全国から参拝者が訪れる春日大社。全国に約3000社ある春日神社の総本社です。

緑深い春日山原始林に包まれるように社殿が立ち並び、背後にそびえるのは古代から神域とされる神山・御蓋山(みかさやま)。これら一帯が境内とされ、総敷地面積は約30万坪にも上ります。

春日大社02

春日大社マップ
近鉄奈良駅から徒歩約25分。喧騒から離れ、うっそうとした林の中に神聖な空気が漂う

はじまりは飛鳥から平城京へと都が移された奈良時代。社伝には平城京の守護と国家繁栄祈願のため768年に創建されたとありますが、実際は奈良時代初期にさかのぼると考えられています。

1998年には春日大社社殿と御蓋山、春日山原始林などを含む全体が「古都奈良の文化財」として、世界遺産に登録されました。

春日大社では20年ごとに、御本殿の大修理や御調度品の調製などを行う「式年造替(しきねんぞうたい)」を実施しています。

これまで60回以上行われ、変わらぬ美しさが保たれてきました。ちなみに、60回を越えるのは春日大社と伊勢神宮のみなのだとか。

春日大社03
境内には鹿の姿も。神様のお供であり、神の使いとして大切にされている

毎年、環境省主唱の「環境月間」である6月に、関西エリアの各地で関西電力送配電による清掃活動が行われており、ここ春日大社でも、実に1998年から取り組まれています(※)。

清掃活動というと、ほうきで落ち葉を掃き集めたり、袋を片手にごみ拾いをしたりといった光景がイメージされがちですが、そこは関西電力送配電ならではの力の見せ所。一般的な掃除とはちょっと違います。

要となるのは、電力会社が所有する特殊車両の一種である高所作業車。この車両を使って、文字通り社殿の高所部分の清掃作業を行うんです。

※2020年4月、関西電力株式会社の送配電事業を関西電力送配電が継承。分社化以前の春日大社の清掃活動は、関西電力株式会社として実施。

春日大社04
社殿のすぐ側まで乗り入れる高所作業車

春日大社05
バケット部分に乗り込んだ作業員が社殿を清掃

 

高所作業車ならではの春日大社清掃活動

清掃当日、高所作業車に乗って現れたのは関西電力送配電の面々。日頃は電線の保守点検などでお馴染みの車両ですが、この日は電線の下を通過して、社殿が立ち並ぶエリアの中心部へとぐんぐん進入していきます。

作業現場に駐車すると、まずは全員で御本殿へ。本日の作業の無事を祈願します。

春日大社06
春日大社の方に案内され、まずは作法にのっとって参拝

清掃するのは、社務所と貴賓館の2カ所。それぞれ雨どいにたまった落ち葉などを取り除きます。

もしこれらをそのまま放置しておくと腐葉土となって堆積し、雨どいが機能しなくなってしまいます。とはいえ、簡単には手が届かない場所の清掃作業は、春日大社の職員だけでは対応できません。

そこで高所作業車と高所作業のプロフェッショナルを有する関西電力送配電に白羽の矢が立ち、23年前から清掃活動を行っています。

特に貴賓館はいわゆる迎賓館の役割を果たし、要人が訪れた際の接遇の場や、結婚式が執り行われる際の親族控室になる建物。大切なお客さまを迎えるのにふさわしい美しさを保つことが求められます。

春日大社07
日頃の電線の保守点検と同じ要領で作業準備や安全確認を進める

バケットに2人の作業員が乗り込むと、ブームがグンと伸びて建物の雨どいギリギリまで接近。手作業で少しずつ丁寧に、雨どいにたまった落ち葉を取り除きます。

地上では作業長が見守り、状況に応じて指示を出します。息の合った連携プレーはさすが。日常的に多種多様な現場対応を行っている精鋭たちの仕事です。

春日大社08
安全に配慮しながら慎重に作業が進められる

春日大社09
作業長ら地上のスタッフは作業の様子を注意深く見守る

 

関西電力送配電の中でこれからも長く続く取り組みに

清掃作業を担当するのは、関西電力送配電の奈良支社奈良配電営業所のメンバー。毎日県内のさまざまな場所にある送配電設備の保守点検作業を行っており、奈良県のすべてが彼らの仕事現場といえます。

そのような中で、年に一度この日だけは特別、聖域である春日大社での清掃作業が加わるのです。

春日大社10
信頼と実績の丁寧な手仕事が光る

「普段とは違う現場で、違う仕事をするのは新鮮ですね。春日大社ならではの厳かな空気も特別感があって、身が引き締まる思いです」と話すのは、係長の岩越吉彦さん。

関西電力送配電の岩越吉彦さん
今年の清掃活動を統括した岩越さん

作業長の下平駿さんは、「地域に電力を届けることが私たちの仕事ですが、普段仕事をしている上で『地域に貢献している』ということはなかなか表立って見えません。今日はそれが清掃という形で目に見えて実感でき、とても良い経験をさせていただいていると感じます」と話します。

関西電力送配電の下平駿さんと春日大社の藤井暢さん
下平さん(左)と春日大社 管理部 主事 藤井暢さん(右)

そして、作業を見守っていた春日大社の藤井さんからは最後に感謝の言葉が。

「高所作業は私たちではできないので本当に助かりました。貴重な文化財を守っていく使命を担う中、関西電力送配電の皆さんには23年変わらずサポートいただいていることに深く感謝しています。これからも末長いお付き合いをお願いしたいです」

なお、今回の清掃作業の動画を関西電力グループのFacebookで公開中。関西電力送配電と春日大社の特別な一日をまとめた見応えのある映像となっています。

さまざまな人の支援で、その美しい姿を保ち続けている春日大社。ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。

 


■DATA

春日大社

春日大社
住所:奈良県奈良市春日野町160
https://www.kasugataisha.or.jp/

関西電力送配電
https://www.kansai-td.co.jp/

<貢献する主なSDGsの目標>
SDGs

■電気事業連合会
SDGsの達成に向けた地域共生の取り組み