あなたとエネルギーをつなぐ場所

函館周辺で楽しむ大人の社会科見学&絶景トリップ

2018.07.05

全国各地のエネルギーにまつわる施設とその周辺スポットへ遊びに行く「エネトリ!」、第2回は北海道第3の都市・函館を有する渡島半島(おしまはんとう)に。

 

定番の函館山からの夜景や赤レンガ倉庫のレトロな町並みまで、見どころ満載の函館。また、今回は北海道で最も大きな地熱発電所がある道南エリアの森町(もりまち)まで足を延ばしました。地元・北海道で活躍するモデルの佐藤悦子さんがレポートします!
 

佐藤悦子さんが北海道南部で今の季節にピッタリの見どころをリポート

 

初夏の絶景!きじひき高原の大パノラマ
 

まず訪れたのは、函館エリアを一望できる標高560mの「きじひき高原パノラマ展望台」。

 

北海道新幹線の終点JR新函館北斗駅から車で約15分

 

羊蹄山(ようていざん)や北海道駒ヶ岳、大沼国定公園に津軽海峡、函館山などダイナミックな地形が見て取れる屈指のビュースポットだ。

 

悦子「風がとっても気持ちいい~!写真を撮影するにはもってこいの場所だね」
 

パノラマ展望台の最上部で。悦子「わーい!スマホでたくさん撮っちゃおう!!」

 

近隣には、キャンプ場があったり、牛が放牧されている風景を眺めることができる場所があったりと、高原の絶景と共に北海道の大自然を満喫できる。

 

展望台の営業時間は8:30~20:00(営業期間4月下旬~10月下旬)。それ以外の時間帯は、入口のゲートが封鎖されてしまうのでご注意を。
 

右奥に見えるのが函館山。悦子「遠くから初めて見た!ポコッとしていて、かわいい形なんですね」

 

大沼国定公園や噴火湾も一望できる。悦子「メチャクチャきれい。やっぱり北海道って、最高!」

 

定番のご当地顔出しパネルを発見。北斗市の公式キャラクター・ずーしーほっきーに変身。悦子「見つけるとガマンできないタイプです」

 

悦子「生まれも育ちも住んでいるのも北海道だから、道南エリアには何度も来たことはあるけれど、ここに来たのは初めて。こんなきれいに道南の有名なスポットが見渡せる場所があったんだ!」

 

函館エリアの地形や位置関係がひと目で分かるこの展望台は、旅のスタート地点に最適。これから始まる北海道の旅モチベも高まるはずだ。

 

巨大タービンに超接近!森地熱発電所

 

続いては、北斗市から国道5号を車で北に向かって約1時間、森町(もりまち)にある北海道電力(以下、ほくでん)・森地熱発電所の見学へ。

 

小高い山の中腹にある森地熱発電所を訪問。悦子「発電所に入るのは小学生以来!おじゃましまーす!」

 

森地熱発電所は一般見学可能(無料・要予約)。見学時間は平日9:00~12:00、13:00~16:00で、土・日・祝日や年末年始、発電所点検期間中は見学不可

 

森地熱発電所は、国内で8番目の地熱発電所として1982(昭和57)年11月に運転を開始。地球の内部にあるマグマが作り出した地熱エネルギーを利用するエコ&クリーンな発電所だ。

 

まずは、出迎えてくれたほくでん火力部森地熱グループリーダーの佐藤英樹さんから、地熱発電の基本的な仕組みと森地熱発電所の成り立ちをレクチャーしてもらう。
 

ほくでん火力部森地熱グループリーダーの佐藤さんから、資料や展示物などがある場所で地熱発電のいろはを教わるところから見学はスタート。パネルを使って地熱発電の仕組みを学ぶ

 

佐藤(英)さん「地下のマグマから発生する熱を活用しているのが大きな特徴です。地下で熱せられた高温の蒸気と熱水のうち、蒸気を発電所へ導き、巨大なタービンを回して発電しています」

 

悦子「ふむふむ。地球のエネルギーを使って発電しているんですね」

 

佐藤(英)さん「地下から取り出した蒸気のエネルギーでタービンを回して発電するというのが地熱発電です。タービンを回す力の源が異なるだけで、基本的には火力発電などと同じ仕組みなんですね」

 

基本的な説明を聞いたところで、いよいよ森地熱発電所の心臓部となる蒸気タービンがある現場へ、GO!
 

建物の2階へ上がり、扉を開くと…悦子「うわあ、スゴイ!!!」

 

建屋内の様子。悦子「これが蒸気タービンですか!こんなに大きいんだ。すごいパワーを感じます!」

 

建屋の中では轟音をたてながら、まさに蒸気タービンが稼働中。その出力は2.5万キロワットで、約5万世帯分の電力を賄うことができるのだ。

 

悦子「メカ萌え、工場好きなら大興奮間違いないですね!」
 

悦子「これぞ発電の現場ですね! このサイズ感は興奮しちゃいます」

 

悦子「パイプのつながりを見て、蒸気の流れをたどっていくと、地熱発電の仕組みがより詳しく分かりますね」

 

発電に蒸気を使う一方で、熱水は近隣農家のビニールハウスを温める熱源として利用しているのも、森地熱発電所の特徴。まさにエネルギーの地産地消だ。

 

このシステムで、森町の名産品であるトマトとキュウリの冬季出荷が可能に。実はこのトマト、東京ディズニーランド®やユニバーサル・スタジオ・ジャパン™などにも出荷している森町自慢のブランド野菜だ。

 

蒸気を取り出した後の残った熱水の一部を地元のビニールハウスに送り、暖房源として有効利用。外気がマイナス20℃まで冷え込む真冬でも、ハウスの中は温かい

 

森地熱発電所が森町名産のトマトづくりに一役買っている

 

森地熱発電所内ではほかにも、中央制御盤があるコントロールルームや、温水を冷やす冷却塔という施設も見学できる。計器やレバーが系統別に整然と配置された制御盤は、少しレトロな仕様で、歴史を感じられる。

 

大きな中央制御盤の前で解説。スイッチや計器などは機能的に配置されている。悦子「このメーターで、蒸気タービンをチェックしているんですね」

 

冷却塔は別名クーリングタワー。悦子「宇宙船みたいな不思議なデザイン!」

 

自然の恵みである地熱エネルギーは、地球からの贈り物。安定した発電が可能で、自然環境にやさしいクリーンなエネルギーとして存在感を発揮している。

 

悦子「マグマの熱からさまざまな段階を経て、電気が作られる過程が分かって、ワクワクしました! 発電所と野菜作りがつながっているっていうことにも、ビックリです」
 

夜の絶景!いざ、函館山ロープウェイへ

 

夕暮れ前には函館市内へと移動。やはり道南エリアに来たら、どうしても訪ねておきたい函館山の山頂展望台に向かう。世界的にも名高い夜景スポットだ。

 

函館山の山麓駅と山頂施設を約3分で結ぶ函館山ロープウェイ。ゴンドラは125人乗りで、往復1280円

 

ちなみにグルメやショッピングが楽しめる金森赤レンガ倉庫など、散策に適したベイエリアもすぐ近く。早く着いたら、散歩するのにちょうどいい。

 

港町でもある函館ベイエリアを代表するショッピングエリア

 

ロープウェイの山麓駅に着いたら、チケットを買って、乗り場へ。ロープウェイのゴンドラは窓が広く、3分間の空の旅の間も函館の街並みを満喫できる。目指すは地上334mの山頂展望台だ。

 

向かって左に函館湾、右が津軽海峡側。2つの海にウエストのくびれのような地形が景観の特徴

 

ロープウェイ山頂施設は、屋上にあたる4階部分が最も高い展望エリアになっている。

 

悦子「天気が良い日は、五稜郭タワーから教会群や赤レンガ倉庫あたりまでを一望できます!野外は夏でも風が冷たいので、要注意。お土産が買えるショップなどもあるから、早くから来ても楽しめるよ」


山頂施設内でラングドシャコーンのプレミアム生クリームソフト500円をオーダー。悦子「噂には聞いていましたが、これはおいしすぎる…味はクレミア ザ ミックスを選びました」


日暮れ、夕焼け、夜景待ち。刻々と暮れる太陽と函館の街並みを眺めながら、ホッとひと息。

 

3階にあるテラスからも函館の景色が見れる。刻々と表情を変える夕景も美しい

 

屋上に上がると、さすがに世界でも有数の景勝地だけあって、平日でも夕暮れどきには夜景を眺めようとするライバルが多い。いい場所を取りたいならば、粘ってポジションをキープ。

 

その努力の甲斐もあって、待ち望んでいた景色は想像以上。


函館湾を見下ろすベストポジションで

 

ジュエリーのような照明が次々に点灯する様子は圧巻

 

一つ一つの明かりをともす電気に思いをはせつつ、夜景の美しさに思わず息をのむ。これぞ北海道、道南エリアのエネルギートリップだ。

 

見どころの多い北海道だが、この夏は道南エリアの旅がおすすめ!
 

 

【コラム】北海道の電力の安定供給をより確実なものとするために~北本連系設備を増強工事中~

北斗変換所(交流の電気を直流に変換する設備)の工事の様子

 

日本では、北海道から九州まで、電力系統は送電線でつながっています。これにより、電力会社の垣根を超えた電力の融通が可能になり、安定供給が支えられるとともに、発電設備の効率的な運用を図ることができます。

 

また、ある電力会社の管内で電力不足が危惧される場合には、電力会社間でタイムリーに電力を融通しあい、停電などのトラブルを未然に防止することも可能です。こうした電力系統のうち、北海道と本州を結んでいるのが、1979年に完成した「北本連系設備」です。

 

現在、北海道電力では、この北本連系設備の増強工事(60万キロワット→90万キロワット)を行っています。北本連系設備の増強によって北海道の電力供給がより確実なものになるとともに、再生可能エネルギーの導入や電力取引の拡大に寄与することができます。

 

2014年7月から現地工事に着手しており、2019年3月の運転開始を目指し、現在、各種工事が着実に進められています。
 


今回訪問した施設

きじひき高原パノラマ展望台

住所:北海道北斗市村山174
電話:0138-73-3111(北斗市役所・代表)
http://hokutoinfo.com/spot/196/


森地熱発電所

住所:北海道茅部郡森町濁川3-91
電話:01374-7-3377
http://www.hepco.co.jp/energy/recyclable_energy/geothermal_power/mori_ps.html

※地熱発電の仕組みはこちら 


 

函館山ロープウェイ

住所:北海道函館市元町19-7
電話:0138-23-3105(総合案内)
https://334.co.jp


 

金森赤レンガ倉庫

住所:北海道函館市末広町14-12
電話:0138-27-5530
https://hakodate-kanemori.com/a30th

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