朝晩はめっきり寒くなり、だんだん冬が近づいてきている感じがします。寒くなると、お家にこもってぬくぬくと過ごしたくなりますよね。だけど電気代が気になるので、できるだけ暖房費は抑えたいのが正直なところ。そこで、部屋づくりのプロフェッショナルであるインテリアコーディネーターのMAKOさんに、節電につながるインテリアコーディネートのアイデアをうかがいました。
インテリアコーディネーターのMAKOさん
お部屋マニアだった子ども時代。不動産会社勤務を経てインテリアコーディネーターへ
――まずはインテリアコーディネーターのお仕事について教えてください。
インテリアコーディネーターとは、主に新築やリフォームの際に床や壁などの内装材についてアドバイスしたり、家具や照明などを選んだりする仕事です。私の場合は他にも、テレビや雑誌といったメディアでのスタイリング、コラムの執筆、セミナー講師なども行っています。最近ではYouTubeでインテリアコーディネートのコツや空間の使い方に関する情報も積極的に発信しています。
――MAKOさんがインテリアコーディネーターになったきっかけを教えてください。
幼い頃から自分の部屋の模様替えをするのが好きで、素敵な部屋の実例がたくさん載っているインテリア雑誌が愛読書でした。小学6年生の頃には、お年玉を貯めてソファーベッドを買ったこともあるくらい(笑)。
不動産会社で働いていたとき、物件をご紹介する際に「もっと収納があればいいのに」とか「壁紙の色が好きじゃないな」といったお客様の声をよく聞いていました。そこで、自分にもう少し専門的な知識があれば、お客様にとってより心地良い空間がつくれるのでは…と考え、インテリアコーディネーターの資格を取得しました。その後、独立して現在に至ります。
――MAKOさんはどんな雰囲気のコーディネートを得意とされているのでしょうか?
シンプル&ナチュラルなスタイルが得意ですね。高級感が漂うクラシック、ヴィンテージ感のあるインダストリアルなど、お客様の好みのスタイルにあわせてコーディネートする際にも、常にシンプル&ナチュラルがベースにあります。
シンプル&ナチュラルをベースにしたMAKOさんのコーディネート
――コーディネートする上で大切にしていることは?
お客様と向き合ってヒアリングを重ねる中で、どんなスタイルを望んでいるのか、しっかり汲み取っていくことが大切だと思っています。「センスがないからお任せで」とオーダーされるお客様も多いのですが、実は誰しもが好きな世界観を持っています。人の頭の中は見ることができませんから、その方の好みは発する言葉や着ている服、持ち物などから判断するしかありません。雑談の中からお客様の人柄や、ご要望が見えてくることも多いので、フランクな雰囲気になることを心がけてお話させていただいています。
お部屋がガラリと変わる“ビフォー/アフター”の瞬間がたまらない!
――インテリアコーディネーターとして活動するなかで、どんなことにやりがいを感じますか?
最もやりがいを感じるのは、家具などを一気に搬入してガラッと変貌した部屋を見たお客様が「ワーッ!!」って声をあげて感激してくださる瞬間です。「部屋が狭いのにインテリアだけ変えても…」と話すお客様の部屋に、圧迫感の少ない家具を選定・配置して空間を仕上げたところ、その変化にものすごく驚かれたこともありました。そうした瞬間に立ち会えるのがこの仕事の醍醐味ですね。
――私たちがインテリアを選ぶ際にどんなことを意識したらいいでしょう?
見落としがちなのが“金額の優先順位”をつけることです。数年後に引越しをするかもしれない、家族が増えるかもしれない、といったことが予想されるのであれば、少し先のライフスタイルを考慮して“今お金をかけるべき家具はどれなのか”を決めていきましょう。なんとなく部屋のイメージを変えたいからとお店に行って、デザインに一目ぼれして衝動買いをしてしまうのは絶対にNGです。
また、意外と多いのはソファにはこだわるのに、照明やカーテンには予算をあまりかけないケース。部屋のコーディネートにおいて、わかりやすく違いが感じられるアイテムこそが、実は照明やカーテンなんです。取り外しできるタイプの照明器具や移動が可能なフロアスタンドなら、部屋が変わっても使いやすいでしょう。カーテンは窓の大きさに合わせて購入するケースが多いと思いますが、アジャスターのついたカーテンフックやカーテンクリップを使えば、多少のサイズ違いは自分で調節できます。また、丈の長いカーテンを短くするのであれば、お直し屋さんでサイズ変更をすることも可能です。引っ越しても使い続けることができれば経済的ですよね。せっかくなら本当に自分が素敵だと思えるものを選んで、長く付き合っていきたいですね。
お洒落なフロアスタンドは部屋のアクセントにもぴったり
寒い季節におすすめ!節電につながるインテリアコーディネートアイデア5選
――これから暖房器具が活躍する時期になりますが、節電につながるインテリアコーディネートのアイデアがあれば教えてください。
インテリアをうまく活用することで、暖房の設定温度を上げず暖かさアップにつなげることができるアイデアを5つご紹介します。
1:暖色アイテムを取り入れて体感温度を約3℃アップ
暖色と寒色では体感温度に約3℃の違いがあると言われています。そこで冬は積極的に赤、オレンジ、ベージュ、ブラウンなどの暖色をお部屋に取り入れてみてください。家具はそのままでも、ラグやクッション、カーテン、タペストリーなどを暖色系に変えることであたたかみのあるお部屋をつくることができます。
暖色系のアイテムはあたたかさを感じるだけでなく、食欲を増進させる効果もあるので、家族が集まるダイニングやリビングにもぴったりです。
ダイニングに暖色系のアイテムを取り入れたコーディネート例
2:ロールスクリーンや暖簾を活用して部屋の間仕切りをする
リビングに階段があるような間取りの場合、空気が階段から通り抜けてしまうため暖房の効きが悪くなります。そんなときはロールスクリーンで間仕切りをして、空気の流れを遮断するといいでしょう。突っ張り棒を使えば簡単に設置できますし、暖簾などでもOKです。1枚仕切りがあるだけで体感温度がかなり変わってきます。
3:冬向けのカーテンに衣替えする
夏と冬でカーテンを使い分けてみましょう。冬は、窓から入ってくる冷気をなるべく防ぐため、厚地のドレープカーテンがおすすめです。厚地のカーテンは、見た目からもあたたかみが感じられます。衣替えするように、季節に合わせて部屋の雰囲気をガラッと変えてみるのも楽しいですよ。
4:暖かさを演出するインテリアアイテムを活用する
暖かさを感じるインテリアアイテムをお部屋に取り入れてみましょう。例えば、ふわふわのファーラグ。リビングに大きめのファーラグを敷けば、フローリングの寒さ対策になります。小さめのものをダイニングチェアの背もたれにかけたり、ソファの上に敷いたりするのもいいでしょう。お部屋のおしゃれを楽しみながら防寒もできるアイテムは、これからの時期の必需品。見た目の雰囲気が変わるだけでも、ぐっと温もりを感じるはずです。
小さめのファーラグをふわっと椅子にかけておくだけ。暖かさを演出しつつ防寒対策にも
5:窓から離れたお部屋の一角に“あったかゾーン”をつくる
外気は、窓やドアといった開口部分から家の中に入ってきます。窓の近くにヒーターなどの暖房機器を設置してしまうと、なかなか部屋全体が温まらず、その分、たくさん電気を使ってしまいます。
そこで、できるだけ窓から離れたお部屋の奥のスペースに、“あったかゾーン”をつくってみましょう。1ヶ所に熱を集めるようなイメージで、クッションやラグ、暖房器具などを設置して、ゆったりくつろげる場をつくるのがおすすめです。
また、冬場はエアコンの温度を控えめにして、ひざかけや湯たんぽなどを活用することも多いと思います。小物が出しっぱなしになっていると、散らかったようにも見えてしまいますが、そんな時はおしゃれなバスケットを1つ置いておくのも一手。使いたい時にすぐ取り出せますし、使わない時はバスケットに戻しておけば、お部屋もスッキリ見えるでしょう。
節電は「やらなきゃいけないもの」として捉えると、「あっちもこっちもスイッチを切らなくちゃ」となんだか心が寂しくなってしまいます。私の自宅では調光機能のある照明を使っています。寝る数時間前から照度をだんだん落として、自分の体が眠りに入りやすい状態にしていきます。気分が安らぎますし、無駄な電気も減らせて一石二鳥です。心は豊かなまま、自然と節電につながるのが理想ですね。
今回ご紹介したアイデアを参考にしながら、この冬は体も心も温まるインテリアコーディネートを楽しんでもらえるとうれしいです。
MAKO(まこ)
株式会社Laugh style代表取締役、インテリアスタイリング協会理事。インテリアコーディネーターとして、新築時や引っ越し時の家具のレイアウトや選定、店舗・病院・エステサロン等のインテリアデザインなどをトータルプロデュースする。平成28年度 インテリアコーディネーションコンテスト スタイリング部門 優秀賞を受賞。セミナー講師、新聞・雑誌等のコラム執筆、メディア出演などで幅広く活動する。
公式HP:https://www.laugh-style.jp
企画・編集=Concent 編集委員会