今年は世界的な情勢により、電力需給ひっ迫の懸念が高まり、夏期に続き冬期にも節電の要請が出ました。寒さが厳しくなるにつれ、暖房などによるさらなる電力需要の増大に合わせてひっ迫への懸念も高まってきています。そこで、節約アドバイザー・ファイナンシャルプランナー(AFP)・消費生活アドバイザーの丸山晴美さんに、この冬の電気のことや、今日からでも実践できる節電・節約方法についてお話をうかがいました。
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丸山晴美さん
2022年冬電力需給がひっ迫するかも!? なんでこうなったの?
――この冬、電気料金アップのニュースを目にしました。夏期から続く電力需給のひっ迫の懸念も、冬期はいっそう気をつけたいところ。こういった状況は、なぜ起きているのでしょうか?
現状、日本の発電の多くは火力発電に頼っており、発電のために必要なLNG(天然ガス)や石炭の価格が高騰し、それに伴い発電コストが上昇しているため、電気料金も値上がりしています。
高騰している理由はいくつかありますが、最近ではロシア軍のウクライナ侵攻により、LNGや原油、石炭といったエネルギー輸出国であるロシアが輸出量を減らしていることで、燃料価格が高騰しており、さらに急激な円安も燃料価格の上昇に追い打ちをかけています。
――こういった状況でふと不安に思った時、どんなことに注目して日々のニュースなどを見ていればいいのでしょうか?
まずは資源価格(例えば、海外における原油先物価格の変動が電気料金に反映されるまで、4~9カ月程度のタイムラグが生じる※)やロシア、ウクライナ情勢、円安といった全体的なこと。そして、毎月のように値上がりしている電気代と年々上昇している「再エネ賦課金」のニュースに注目するとよいでしょう。
具体的に、どんな点に気をつけて節電をしたらいい?
――燃料価格の高騰や円安は一朝一夕には解決しない問題です。日常の中でまずできることとして、生活の中でどんな点に気をつけたらいいでしょうか? また、おすすめの節電方法などがあればおうかがいしたいです。
熱が出るもの、使用時間が長いものほど使用電力量が高くなる傾向があります。
資源エネルギー庁の省エネポータルサイトによると、夏、冬ともにエアコン、冷蔵庫、照明の順番に消費電力量が多くなります。待機電力を意識するのもよいですが、消費電力量が多い家電製品から節電する仕組みを作っていきましょう。
出典:家庭でできる省エネ(経済産業省 資源エネルギー庁)より
一番簡単な節電方法は、冷蔵庫やエアコン、テレビなどの設定にエコモードや省エネモードがあれば、それに切り替えるだけで、使いながら節電ができます。そのようなモードがない場合は、冬場は冷蔵室の設定を弱設定にしたり、テレビの音量や明るさを下げるだけでも大丈夫です。
他には照明をLED照明に交換したり、10年以上使っている冷蔵庫やエアコンを最新のものに買い替えると、使いながら節電ができます。
エアコンやヒーターの設定温度も20℃を目安に設定しつつ、リビングで家族みんなで過ごすウォームシェアや、肌寒いと感じたときに1枚羽織る、レッグウォーマーやネックウォーマーを使うといったウォームビズを意識しましょう。
――冷房に比べて、暖房の方が電力使用量が高くなる傾向あると聞いたことがあります。ほかに、冬の家の中で、節電・節約のために気を付けたいことはありますか?
上記のウォームシェアやウォームビズに加え、窓や保温も気を付けるとよいでしょう。
外の冷気は窓ガラスを通して入ってきて、暖めた部屋の暖気は窓ガラスを通して逃げて行ってしまいます。おしゃれなカーテンもよいですが、断熱性のある厚手のカーテンを引くと暖房効率が上がります。
寒い冬は、暖房便座や電気ポットなど温かい保温が恋しくなりますが、暖房便座は低温にしたり、使用後は便座のフタを下ろす、電気ポットは日中在宅していないのであれば、その間は切る。
1回あたりのお湯の使用量がカップ1杯程度など1リットル未満であれば、電気ケトルを使用するとよいでしょう。炊飯器も4時間以上保温をするなら、小分け冷凍や冷蔵をして食べる分だけレンジで温めなおした方が節電になります。
――節電や節約は、やろうやろうと思っても、日々の生活の中でなんとなく見過ごしてしまったり、面倒だなと感じてしまう人もいるかと思います。私もその一員で……。節約への心構えをうかがいたいです。
値上がりが続きますが、大変なときこそ今一度固定費などの家計を優先順位を考えながら見直しましょう。
節約=ケチやランクDOWNではなく、日ごろの無駄を省いて必要な時にお金が出せるようになることで、生活の質が上がりランクUPにつながります。
――ありがとうございました!
※https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2016html/data/361-5-4.pdf
丸山晴美
節約アドバイザー・ファイナンシャルプランナー(AFP)・消費生活アドバイザー。 22歳の時に節約に目覚め、1人暮らしをしながらも1年で200万円を貯めて26歳で住宅を購入した経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニ店長などを経て2001年節約アドバイザーとして独立。食費や通信費など身の回りの節約術やライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどを執筆、監修している。
ゆとりうむプロジェクト理事:https://yutorium.jp/
公式HP:http://www.maruyama-harumi.com
主な書著
「節約家計ノート2023」(東京新聞)
「シングルママのお金に困らない本」(徳間書店)
インタビュー:Concent編集部