電力はなぜ足りなくなるの? 乾電池のように貯めて使うことはできないの? と、疑問に思ったことがある方も多いのではないでしょうか。このコラムでは「予備率」「電力需給ひっ迫警報」など、電気についてよく聞く言葉を解説します。
電気は貯められない? 品質を守るための「同時同量」とは
「同時同量」とは、使う電気の量と、発電する電気の量を常に同じにする原則のこと。電気は、乾電池やバッテリーなどに小さな量の電気を貯めることはできますが、複数世帯の生活を支えるような電気は、基本的に蓄えておくことができません。そのため、使う電気の量と発電量がいつも同じになるように調整する必要があります。
同時同量のバランスが崩れると、周波数が不安定になって電気の品質が落ちたり、大規模な停電発生につながったりすることもあります。季節や1日の間でも変わる電気の使用量に応じて、さまざまな発電方法を組み合わせて、発電量が調整されています。
東日本・西日本の周波数はなぜ違う?
「周波数」とは、電気製品で使われる「交流」の電気による波が、1分間に繰り返す回数のこと。ヘルツ(Hz)という単位で表されます。周波数は、新潟県の糸魚川と静岡県の富士川を結ぶ線を境に異なり、東日本では50Hz、西日本では60Hzの電気が使われています。
この違いは、明治時代、東京ではドイツから輸入した50Hzの発電機、大阪ではアメリカから輸入した60Hzの発電機を使って電気を作り始めたことに由来します。現在の電気製品の多くは50Hzでも60Hzでも使うことができますが、エリアと異なる周波数が設定されている電気製品を使うと、故障したり、機能性が変わったりすることがあるので注意しましょう。
気になるワード「予備率」ってどんな数字?
「電力が足りない」というニュースなどで使われる、「予備率」という言葉。それは、ピーク時の電力需要に対して、供給力の余裕がどれくらいあるかを表した数字です。
電気は基本的に、貯めておくことができません。そのため、気温の変化によって急に電力の需要が増えたり、発電トラブルで供給力が低下したりするケースに備えて、供給力に余裕を持たせておく必要があります。電力の需要は刻々と変動しますので、最低でも3%の予備率が必要です。また電力の安定供給のためには、8%以上の予備率が望ましいと言われています。
電力需給ひっ迫警報・注意報とは?
電力需給ひっ迫警報、電力需給ひっ迫注意報は、翌日に電気が足りなくなることが予想されたとき、資源エネルギー庁が前日16時をめどに発令します。電力需要に対する供給の余力が少なく、電力がひっ迫する可能性を早めに知らせることで、家庭や企業に節電の対策をしてもらうことが目的です。
需給ひっ迫注意報は、翌日の予備率が5%を下回る見通しのとき、需給ひっ迫警報は、翌日の予備率が3%を下回る見通しのとき、発令されます。この注意報や警報が出された際は、熱中症などの体調不良に注意しながら、無理のない範囲での節電を心がけましょう。
「でんき予報」もチェックしていざというときの電力不足を乗り切ろう!
各エリアの電力会社は、電力の使用状況を伝える「でんき予報」を公開しています。今日の需給状況が厳しくなりそうか、安定しそうかという見込みがわかるので、こまめにチェックして、効率的に電気を使ってみてはいかがでしょうか?
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