新旧のテクノロジーに感動! 東広島に根付く「技術力」を巡る旅

2020.02.07

今回は、発電所や電力関連施設をよりよくするためにさまざまな研究開発を手掛ける東広島市の研究所へ。地元に根付く匠の文化に触れられるスポットと一緒に、新しい“発見”ができる広島の楽しみ方を教えちゃいます!


電気を作り、届けるための技術を生み出す研究所~特許件数は業界でも日本一!~

広島市から、少し東。JR広島駅から電車で40分ほど移動すると東広島市にたどり着く。

兵庫の「灘」、京都の「伏見」と共に日本三大銘醸地と称される広島の「西条」がある地域で、毎年10月には「酒まつり」が開催され、2日間で20万人を超える来場者が訪れる。


JR西条駅から徒歩圏内に、7つの日本酒の蔵元が点在。土蔵などに用いられる盛り上がった格子状の継ぎ目が特徴の「なまこ壁」など古き良き街並みが広がる

そんな「酒の街」には、また別の顔もある。西条駅から南に進んだ市中央部には、「広島中央サイエンスパーク」と呼ばれる研究団地があり、国際協力機構(JICA)や産業技術総合研究所、酒類総合研究所といったさまざまな研究開発施設が集まっている。

今回訪れた中国電力の「エネルギア総合研究所」も、その中の一つだ。


敷地内に実験用の太陽光発電パネルなどが設置されているエネルギア総合研究所

エネルギア総合研究所は、主に電気を効率的に作り、届けるために、さまざまな技術を研究開発している施設。

研究所内には、「高電圧実験棟」や「機械材料実験棟」といった施設があり、館内を巡ることができる一般見学では、それらの実験棟の内部や、敷地内にある「太陽光発電パネル」などを見ることができる。


一般見学可能な「高電圧実験棟」にある、高さ9.4mの雷インパルス電圧発生装置


「高電圧実験棟」では、毎年8月の一般公開で、実際に雷を発生させる実験を見ることができる(※通常の一般見学では実施されません)

中国電力でこれまで研究開発され、特許取得した技術はなんと約4800件(2018年12月時点)。その数は、エネルギー業界の中では1位だそう。その技術の多くは、ここエネルギア総合研究所から生まれている。

例えば、「焼酎かすからバイオガスを取り出す技術」や、屋根や壁面を植物で覆い、室温上昇を防いで省エネにつなげる「緑化システム」、火力発電所の海水取込み口に付着し発電効率の低下を招く貝を、目に見えないくらい小さい赤ちゃんの段階で検出する「幼生検出キット」といった発明の数々は、普通に生活する私たちが目にすることはなかなかない。


研究成果の一部はパネルや模型が展示されており、一般見学も可能(写真上:緑化システムのイメージ模型、写真下:貝幼生の検出キット(白いスティック状のもの))

そして、電気を作り、届ける現場を裏から支える重要な役割を果たす発明も多いという。中でも、近年で一番注力したのが「停電対策」の技術だ。

台風などの災害によって発生する停電の時間を少しでも短くするための研究が行われている。

その一つが、全国に先駆けて開発された「配電用可搬型故障点標定システム」と呼ばれる技術で、高圧配電線に故障が生じた場合、その位置をいち早く発見できるというもの。


「配電用可搬型故障点標定システム」は、あらかじめ配電線にセンサーを設置し、故障発生時はセンサーからの情報をもとに故障地点を特定する

これまでは、設備の不良や樹木の接触で配電線に故障が発生したら、数キロにわたって実際に目で見ながら故障地点を探していた。このシステムを使えば誤差100メートル以内で位置を特定できるという。

他にも、近年話題の再生可能エネルギー関連の研究も、以前から行われている。


敷地内に20年以上も前から設置されている太陽光発電パネルの実験設備。紺色の部分は「セル」と呼ばれ、太陽光エネルギーを吸収する部分。最近のパネルは四角に近い形に切り取るが、こちらは丸に近い形のまま並べているので水玉模様に見える


エネルギア総合研究所が開発した電気自動車用の急速充電器も展示されている


まるで人の顔のような急速充電器の充電プラグ

使い終わった電気自動車のバッテリーを蓄電池として再利用し、バーチャルパワープラントの実証試験も行われる予定だ。これは、太陽光などの再生可能エネルギーと電気自動車、蓄電池を束ねて一つの発電所のように機能させる技術で、資源のリサイクルや再生可能エネルギーの利用拡大につながることが期待されている。

このように研究に取り組む一方で、エネルギア総合研究所では、環境エネルギー教育やキャリア教育の支援のための学習プログラムで、数多くの近隣の学生を受け入れており、地域に根差した研究所と言える。


小学生などの見学の場合は、手回し発電機を使った発電体験も

普段の生活ではなかなか目にすることがない、“お客さまに電気を安全に届けるまで”を支える技術。エネルギア総合研究所に行けば、電気を使う時、その陰に多くの研究の積み重ねがあることを発見できるはずだ。

 

見学室直売所が移転オープン! 酒の街を代表する「賀茂鶴酒造」

1873年創業の「賀茂鶴酒造」といえば、日本三大銘醸地・西条を代表する蔵元の一つ。代表銘柄である「大吟醸 特製ゴールド賀茂鶴」は、あの米国・オバマ元大統領も味わったという逸品だ。

2019年10月に、創業当時から受け継がれる匠の技術を広く伝えるため、見学室直売所を移転リニューアルオープンした。


JR西条駅から歩いて4分ほどにある賀茂鶴酒造。西条は、2018年公開の川栄李奈さん主演映画「恋のしずく」の撮影場所としても知られる

見学室直売所があるのは、創業当時に建設された酒蔵・一号蔵。有形文化財に登録された明治初期の建物はそのままに内装を一新し、酒造りの文化と歴史を体感しながら、買い物まで楽しめる。


販売コーナーでは、ここでしか買えない「特別本醸造 蔵出し原酒」(720ml/1600円)の無料試飲もできる


一番人気の「大吟醸 特製ゴールド賀茂鶴」(720ml/2750円)。小さいサイズの丸瓶と角瓶(各180ml/600円)はお土産に持ち帰りやすい

中には、酒造りの工程を学べる展示コーナーや、ここでしか買えない限定酒も購入できるうえ、バーカウンターではプレミアムな酒を手頃な価格で飲むことができる。


今は使われていない、酒造り用のさまざまな木製の道具が展示されている


米を蒸すために使われる日本最大級の「甑(こしき)」。古いものと思いきや、展示品と同じものが、今も現役で使われている

数ある酒のラインアップの中でも、とりわけ女性から好まれるのが梅酒だ。

厳選された紀州の南高梅から抽出した旨味が味わえる「純米酒仕込 梅酒」(720ml/1650円)は、全国梅酒品評会で3回の金賞を獲得しており、お土産として人気が高い。さらに、ここに来れば、無料試飲までできるというからうれしい限り。


バーカウンターでは、「大吟醸 特製ゴールド賀茂鶴」(30ml/100円)や「大吟醸 天凛」(30ml/500円)といったプレミアムな日本酒が、蔵元ならではの手頃な価格で試飲できる


広島の人気ベーカリーANDERSENとコラボレーションした「日本酒ケーキ」(1782円)も販売。純米酒のシロップを使っている

ちなみに、賀茂鶴酒造とエネルギア総合研究所は、ともに「西条・山と水の環境機構」に加盟しており、「山づくり、水づくり、美しいふるさとづくり運動」に取り組んでいるという。会社という枠を超えて、西条の環境の保全・育成に取り組む活動を展開しているのだ。

西条にある他の蔵元も、それぞれ一般見学や無料試飲などを行っている。酒の街に訪れたなら、新しい“好き”を発見できる酒蔵巡りを楽しんでみてほしい。

 

広島に来たら1本は買いたい匠の技! 熊野町発の化粧筆

東広島市からは少し離れてしまうが、車で30分ほどの距離の熊野町にあるのが、町で作られた筆とその文化を紹介するミュージアム「筆の里工房」だ。


東広島市から車で30分ほどにある「筆の里工房」

熊野町で江戸時代末期から作り始められたとされる「熊野筆」は、180年もの歴史がある伝統的工芸品。熊野町内には100社を超える筆メーカーがあり、現在、国内の生産量は全国一と言われている。


館内地下フロアに降りると出迎えてくれる世界一とされる大筆。長さは3.7メートル、重さは約400キログラム

筆の里工房の館内には、さまざまな熊野筆や書家の作品などが展示されており、熊野町で実際に筆を作っている伝統工芸士の“技”も見学することができる。


「筆司の家」というブースで筆作りを見学させてくれた熊野筆伝統工芸士の赤翼剛(雅号:洞水)さん


「選毛」や「練り混ぜ」といった毛筆を作るための12の工程を目の前で見学できる

書筆や画筆とさまざまな種類がある中で、近年、女性から特に支持を得ているのが熊野町発の「化粧筆」。肌触りや毛質の良さなどが好評で、プレゼントとしての好感度は抜群だ。

“筆の里”の玄関口である筆の里工房は、そんな熊野町の化粧筆も豊富にそろえている。展示品を見る以外に、必ず立ち寄ってほしいのが熊野町のメーカーが手掛けた筆を購入できる「熊野筆セレクトショップ本店」。ここでは、書筆から画筆、化粧筆まで、なんと約1500種類もの筆の中から、試筆しながら購入することができるのだ。


熊野筆セレクトショップがあるのは、全国で本店とJR広島駅前(2020年3月に同駅北口のホテルグランヴィア広島内に移転予定)、東京・銀座の3カ所のみ


セレクトショップが扱う化粧筆は、7メーカーのアイテム。リップブラシ(2000円~)など買い求めやすいものも


熊野筆セレクトショップオリジナルブランドの化粧筆「SSシリーズ」(1680円~)。パウダーブラシからシャドウブラシまで約20種がラインアップ

書筆の中には、ダチョウやクジャクの羽製、竹やカシワといった植物製など珍しいものもあり、書や絵画に興味はなくても、眺めるだけで楽しめる。

自分磨きのための1本や、新しい趣味のための1本との出合いがきっとあるはず。


筆の里工房にある「Cafe 照(カフェテラス)」で、熊野町の風景を眺めながらひと息

古くから日本酒や筆といった職人たちが支え、今は新たなテクノロジーを研究する技術者たちが集まる東広島市と熊野町。今も昔も、“何か”を生み出すこのエリアで、新しい発見を探す旅に出てみてはいかが?

 

※表示価格は全て税込(10%)です


■スポットDATA

エネルギア総合研究所

住所:広島県東広島市鏡山3-9-1
電話:082-493-5513(見学専用電話)
時間:9:00~12:00、13:00~17:00
休み:土曜、日曜、祝日、5/1、年末年始
料金:入館無料
※見学希望日の2週間前までに電話またはメールで要予約
http://www.energia.co.jp/eneso/tech/kengaku/index.html


賀茂鶴酒造 見学室直売所

住所:広島県東広島市西条本町9-7
電話:0120-422-212
時間:9:00~16:30(最終入館16:00)
休み:年末年始、お盆、酒まつり時期※臨時休館あり
料金:入館無料
https://www.kamotsuru.jp/tour/


筆の里工房

住所:広島県安芸郡熊野町中溝5-17-1
電話:082-855-3010
時間:10:00~17:00(最終入館16:30)
休み:月曜(祝日の場合は翌日)、年末年始
料金:大人600円※展示内容によって変更あり
http://fude.or.jp/jp/