国産エネルギーはほとんどない!? 今知っておくべき日本のエネルギー事情(前編)

2018.08.01

今、日本のエネルギー事情がどうなっているのか、最前線で活躍する先生が分かりやすくレクチャーする「エネスタ!」(Energy Study!)。第1回は、日本エネルギー経済研究所の小川順子先生に、日本が直面しているエネルギー問題について教えてもらいました。生徒には、理系女子大生の大野南香さん、読者モデルの高橋晴香さん、働く女子の多田恵さんの女子代表3人が参加。将来、考えていかなければならないエネルギーについて、一緒に勉強しましょう!

先生「さて、今、日本のエネルギーについて何か知っていることはありますか?」

大野「太陽光発電が流行っていますよね? 家の屋根の上にパネルがあるのを見たことがあります」

高橋「原子力発電所の事故があってから、反対する声が気になっています」

多田「トランプ大統領がパリ協定から脱退して、すごい批判されましたよね。日本にも影響があるんじゃないかって……」

先生「皆さんの言ったことは、それぞれ日本のエネルギーに関係している話ですね。それら全てを含めて、日本は本当にたくさんのエネルギー問題を抱えていて、今、大きな局面を迎えているんです。まずはこの図を見てください」

出典:電気事業連合会

先生「エネルギー自給率とは、暮らしや産業活動に必要なエネルギー資源のうち、自国で確保できる割合のこと。日本を見てみると、先進国35カ国中、ルクセンブルクに次いでワースト2位。約8%しかないのです」

大野「ということは、エネルギー源のほぼ全てが輸入ってことですよね? 資源って、何を輸入しているんですか?」

先生「ほとんどが石油、石炭、天然ガスといった化石燃料です」

大野「ということは、そもそも日本にはそういった化石燃料がないってことなんですか?」

先生「その通り。日本は化石燃料をはじめとするエネルギー資源がほとんどなく、外国から輸入しなければならない状態です。日本の自給率は約8%と極めて低い水準で、数字だけでも厳しさは伝わると思います。もし、今、エネルギー資源を輸入している諸外国の情勢が変わって、輸出をストップすると言ってきたら私たちはどうなると思いますか?」

多田「車や飛行機は使えなくなるし、電気が止まって生活もできなくなっちゃいます」

先生「なので、輸入頼みのままではまずい。そこで日本は、エネルギー自給率の向上を目指しているんです」

多田「そもそも資源がないのに、どうやってエネルギー自給率を上げるんですか?」

先生「自然のエネルギーを活用する太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギー(以下、再エネ)の比率を増やしつつ、同時に原子力発電所を再稼働させることで、エネルギー自給率を向上させる予定になっています」

高橋「えっ!? 原子力って再稼働させるんですか?」

先生「太陽の光や川の水、風を資源とする再エネは、国産のエネルギーとしてイメージできると思いますが、実は、原子力も燃料をリサイクルすることができるため、『準国産』のエネルギーとして自給率に組み込むことができるんです」

多田「そうなんですか。準国産って面白いですね」

先生「また、電力をどれだけ安定して供給できるか、さらに、発電にかかるコスト、環境への影響なども考慮すると、原子力は資源の少ない日本における重要な電源の一つとして必要になってきます」

高橋「でも、原子力を動かすからには安全を最優先にしてほしいです。そうすると、その分、安全対策などでお金がかかりそうな気がするんですが……」

◆各発電方法のコスト比較(2014年モデルプラント試算結果概要)

出典:発電コスト検証ワーキンググループ「長期エネルギー需給見通し小委員会に対する発電コスト等の検証に関する報告」を基に作成

先生「実は、原子力は長期的に大量の電気を生み出すことができるため、安全対策などの費用を含めても、その他の発電方法に比べて遜色ないレベルの発電コストなんですよ」

大野「長く大量に発電できるから、費用と割り算すると、コストの影響も抑えられるんですね」

先生「日本のエネルギー政策の基本的な考え方は、安全性を前提に、どんな時でもエネルギーが安定的に、そしてできるだけ安い価格で使えること。さらに温室効果ガスの排出を減らしていくことです。でも、これは実はとても難しい。なぜなら、安定的な供給・環境問題・エネルギー費用といった側面において、各エネルギーにはさまざまな長所と短所があるからです。それらを踏まえ、日本は2030年度における発電方法の組み合わせ(電源構成)を示しており、その中で原子力の割合は22~20%としているのです」

◆長期エネルギー需給見通し

出典:電気事業連合会

多田「いろいろ考えると原子力も必要だってことか…。でも、先ほど仰っていましたが、再エネで自給率を増やせるなら、全部再エネでいいんじゃないですか?」

先生「そう思いますよね。では、次回は再エネだけにできない理由をお話ししましょう」

後編に続く

<<profile>>

小川順子(おがわ・じゅんこ)

財団法人日本エネルギー経済研究所・地球環境ユニット地球温暖化政策グループ研究主幹。専門は地球温暖化政策分析や省エネルギー政策分析。1997年に入所以来、国際エネルギー経済学会やエネルギー資源学会、セミナーなどを通じてエネルギー問題の理解促進に尽力する。

大野南香(おおの・みなか)

1999年3月生まれ、愛知県出身。東京大学教養学部理科二類2年。東京大学2017年準ミスグランプリ。趣味は弾丸旅行や料理。今回は理系女子の視点からエネルギー問題に斬り込む。

高橋晴香(たかはし・はるか)

1989年1月生まれ、東京都出身。読者モデル、インスタグラマーとして活動。特技は卓球やジャズダンス。電気料金や節約術などエネルギーのあれこれを今どきの女子目線で問う。

多田恵(ただ・めぐみ)

1986年生まれ、千葉県出身。雑誌編集者。趣味は旅行や最新グルメ巡り。今回は働く女子代表として参加し、気になっていたエネルギー関連のニュースなどへの疑問をぶつける。